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人間中心設計(HCD)とは? 6つの原則、プロセスについて

人間中心設計(HCD)とは? 6つの原則、プロセスについて
目次

人間中心設計とは

人間中心設計(Human-Centered Design、HCD)は、製品やサービスの設計プロセスにおいて、ユーザーのニーズと経験を中心に据えるアプローチです。この設計手法では、ユーザーの視点から製品やサービスを見つめ、使いやすさやアクセシビリティを最適化することを目指します。

人間中心設計の6つの原則

1. ユーザー、タスク及び環境の明確な理解に基づいて設計

この原則は、製品やサービスが実際に使用される具体的な状況を深く理解することに重点を置きます。ユーザーのニーズ、彼らが行うタスクの種類、そしてそれらが行われる環境についての詳細な洞察が必要です。

ユーザー調査、現地観察、インタビューなどを通じて、これらの要素に関する情報を収集し、設計に反映させます。

2. 設計と開発全体を通してユーザーが参加

設計と開発の各段階において、ユーザーの意見やフィードバックを積極的に取り入れることを強調します。

ユーザーを設計プロセスに積極的に参加させ、定期的なフィードバックを取り入れることで、最終製品がユーザーのニーズに沿ったものになるよう努めます。

3. ユーザー中心の評価に基づいて設計を実施し、改良

製品やサービスの設計は、ユーザー中心の評価を基に行われ、継続的な改良が重要視されます。

プロトタイピング、ユーザーテスティングなどを通じて、ユーザーの反応を評価し、その結果に基づいて設計を改良します。

4. プロセスの繰り返し

人間中心設計は反復的なプロセスであり、継続的な改善を目指します。

評価と改良を繰り返し行い、製品がユーザーの期待を満たすまで設計を微調整します。

5. ユーザー体験(UX)全体を考慮して設計

設計はユーザー体験(UX)の全体像を考慮して行われるべきです。

ユーザーの使用開始から終了までの全体的な経験を考慮し、製品の使いやすさ、満足度、感情的なつながりなどを重視します。

6. 専門分野の技能及び視点を含む設計チーム

効果的な人間中心設計のためには、多様な専門分野の知識と視点が必要です。

デザイナー、エンジニア、ユーザー研究者、心理学者など、様々な分野の専門家が協力して設計に取り組みます。

人間中心設計のプロセス

ユーザー調査と理解

  • 方法: インタビュー、観察、アンケート、フォーカスグループなどを用いて、ユーザーのニーズや行動、環境に関する情報を収集します。この情報は、ユーザーペルソナの作成やジャーニーマップの作成に役立ちます。

アイデア発想とコンセプト開発

  • 方法: ブレインストーミングや共創ワークショップを通じて、多様なアイデアを生成します。ここで重要なのは、ユーザーの視点に立って、実用的かつ革新的なソリューションを考え出すことです。

プロトタイピングとユーザーテスト

  • 方法: 紙のモックアップやデジタルプロトタイプを作成し、実際のユーザーによるテストを行います。この段階では、ユーザーのフィードバックを受けて設計を調整し、製品やサービスの使いやすさを評価します。

実装と展開

  • 方法: 最終設計に基づいて製品やサービスを製造または実装し、市場に導入します。この段階では、実際の使用環境でのパフォーマンスを観察し、必要に応じて追加の調整を行います。

評価と反復

  • 方法: ユーザーフィードバックの収集、パフォーマンスの追跡、市場での反応の分析を行い、製品やサービスの効果を評価します。この情報を基に、継続的な改善を行うことが重要です。

人間中心設計の具体例

  • スマートフォンのインターフェース: ユーザーの使いやすさを考慮して設計された直感的なタッチスクリーン操作。
  • 公共施設の案内表示: さまざまな年齢層や能力を持つユーザーにわかりやすい案内表示の設計。

人間中心設計のメリット

  • ユーザー満足度の向上: 製品やサービスがユーザーのニーズに合致するため、満足度が高まります。
  • 利用のしやすさ: 直感的に操作できる製品やサービスにより、使いやすさが向上します。
  • 市場での競争力: ユーザーのニーズを満たす製品は市場での競争力が高まります。

人間中心設計の課題

  • 時間とコスト: ユーザーリサーチやテストには時間とコストがかかることがあります。
  • 多様なニーズの調和: 異なるユーザーのニーズをすべて満たすことは難しい場合があります。
  • 技術的制約: ユーザーの理想と技術的実現可能性とのバランスを取る必要があります。

まとめ

人間中心設計は、ユーザーのニーズと経験を中心に設計を進めることで、使いやすく効果的な製品やサービスを創出する手法です。このアプローチはユーザー満足度を高め、製品の市場競争力を強化しますが、適切なリソースの確保と多様なニーズへの対応が重要な課題となります。効果的に人間中心設計を実施することで、より良い製品とサービスを提供し、組織の成功に貢献することができます。